カルダモンみかんケーキ

カルダモンみかんケーキ

年末はいつも伊豆の松崎で。15年前に亡くなった祖母の家を別荘代わりに、毎年夏休みと年末は、田舎の家で過ごします。

この冬、ふと思い出した。庭の裏に忘れ去られた、おばあちゃんのみかんの木。

家族みんなにすっかり忘れていた木には、たわわにみかんが実っていた。

見た目はシミだらけ、売り物にはならない野生のみかん。恐る恐る食べてみると、びっくりするほど美味しい。皮は薄く、果肉がぎっしり。種はほぼ無い。すごーーーーく、甘い!

野放しに忘れ去られていたのにも関わらず、こんなにも美味しい果実が実ることに、心底驚く。自然って、すごいね。

自然の恵み100パーセントの無農薬みかん、せっかくなので、皮ごと美味しく変身させよう。

まずは包丁でザクザクとカットして、鍋いっぱいにみかんを放り込む。みかんジャムにしようか悩んだけれど、甘みがとても強いので、お砂糖ナシで煮詰めて、ペーストにします。お砂糖いらないと思えるほど、甘いみかん。

 

弱火で、ひたすら、コトコトと。とてもいい香り。汁気を飛ばして、濃縮みかんペーストに。ヘラで皮を潰しながら柔らかく、煮詰めます。無農薬だからこそできる調理法。スーパーで売っているみかんでは作れない。

完成したみかんペースト。みかんの皮の苦味が程よく、マーマレードのような味わい。甘いだけのポンカンよりも、ビターな夏みかんやキンカンが好きな私好みの味。ペーストが冷めたら、ケーキ作り、開始。

みかんにはオリーブオイルが合うはず。平飼い卵と、お塩も加えたてよく混ぜたら、たっぷりのみかんペーストを入れましょう。

オイルとみかんの水分を乳化させるよう、よく混ぜます。冬の夕方のキッチンに差し込む光も、みかん色。

粉は、静岡県産の地粉の中力粉で。一つのケーキにできる限り地産地消をぎゅっと詰め込みたい。スパイスはカルダモンで田舎っぽさは打ち消すよ。

パウンド型に生地を流し込んだら、輪切りのみかんも載せちゃおう。パウンド型もゴールドでキラキラ。この型は、本当に可愛くて、ふんわり焼けるので、お気に入り。

ガスオーブン、180度で45分。スライスみかんがちょっと焦げてしまったけれど、まあ良しです。ブリキの型のおかげで、生地の中心部までしっかり焼ける。私のレシピはびっくりするほどの野菜や果物を入れるので、この型じゃないと、中心部がまで火が通りずらい気がして。一度使うと手放せない、お気に入りの型なのです。

ケーキの断面にはたっぷりのみかん。小麦粉の2.5倍ほどのみかんを使った、濃縮丸ごとみかんケーキの完成!

お砂糖も使わずに、みかんだけの甘みで作ったケーキ。かなり攻め攻めの配合、さて、お味は?

ばっちり、美味しい!みかんの繊維がいい感じにむっちり食感のケーキに変身。甘さ控えめだけれど、自分で食べる分には満足だ。一発で100点満点のケーキが焼けて、嬉しいな。

去年、キャロットケーキをはじめ、あらゆるベジケーキをたくさん焼いてきたおかげかな?この頃は、野菜や果物の声が聞こえるようになりました。「私の水分量はこのくらいだから、このくらいのオイルに、このスパイス使ってね〜粉はこれでね〜」って声が。とはいえレンコンケーキはレシピ完成までに10回は焼き直したので、みかんケーキが一発で美味しくできたことはとっても嬉しい。ただ、無農薬のおばあちゃんのみかんじゃないと成立しないニッチなレシピ。あくまで自分用のレシピですが。

こちらはシンプルに、ドライみかん。

皮ごと薄くスライスして、お日様で2日間干しただけ。ぎゅっと美味しさが濃縮。調理してくれたお日様に感謝。

天国のおばあちゃんも空の上からきっと感心しているはず!今でこそナチュラルに暮らしている私ですが、おばあちゃんがまだ生きているときは、若くてちょっと不良だったので・

おばあちゃんとの思い出を一つ。美大時代、一人暮らしのアパートに、おばあちゃんはいつも段ボールいっぱいの野菜を送ってくれた。おばあちゃんの畑で採れた、虫食いだらけ、泥だらけの野菜たち。それを調理することは、19歳の若者にはかなりの試練。料理のレパートリーも少ないし、野菜から出てくる虫が怖い。ミョウガからムカデがスルッと出てきたことは一生忘れられない恐怖です。

けれど、おばあちゃんの手作りの野菜を無駄にすることは絶対にできなくて、どうにか調理して、残さずに腐らせずに食べ切っていました。今思うと、結構偉い。そして、そこで鍛えられたものはかなり大きい。

都会育ちの私にとって、伊豆は、心のふるさと、大好きな場所。今年は、もっと、伊豆のキッチンに立つ時間を増やしたい。自然の近くに身を置く時間を2倍に増やしたい。今年の目標です。

まずは、春が来る前に、庭の蕗のとうを摘みに帰らなきゃ。苦手な天ぷらを、今年は上手に揚げられるようになろう。生きてる限り、修行はつづく!urara

  

カルダモンみかんケーキのレシピ
材料(18cmパウンド型1台)
ボールA
地粉(国産中力小麦粉) 140g
重曹 小さじ1/2
カルダモンパウダー 小さじ1~2(お好みで)
 
材料B
みかんペースト  360g(無農薬みかん約4〜5コを煮詰める)
平飼い玉子 2つ
オリーブオイル 45g
天然塩 3g
 
下準備:
無農薬みかんを皮ごとザク切りにカットし、鍋で煮詰め、みかんペーストを作る。
オーブンは180度に温めておく。
型にオーブンシートを敷く。
 
作り方
1 ボウルAで粉類と重曹、スパイスを混ぜ合わせておく。
2 玉子、オリーブオイル、塩を泡立て器でよく混ぜる。
3 2にみかんペーストをくわえ、さらによく混ぜる。  
4 Aをボールに2回に分けて入れ、ゴムべらでさっくりと混ぜ合わせる。
6 型に生地を流し込み、スライスしたみかんをのせる。
7 170~180度のオーブンで45分ほど焼き、真ん中に竹串をさして生地がつかなければOK。
8 型ごと網の上で冷ます。よく冷めてから食べやすいサイズに切り分ける。