お正月のKitchen Note

お正月のKitchen Note

わたしのお正月レシピ。2024年のはじまりのキッチンノート。

お正月といえば、やっぱりお雑煮。私が毎年食べるお雑煮は、もしかすると日本一地味かもしれない。

お餅にこだわる私の自家製杵つき餅(レシピはこちら)と、餅が見えないほどたっぷりのかき菜を入れて。華やかさはみじんもないけれど、これが私の大好物。ソウルフード。私の両親のふるさとの伊豆松崎のお雑煮。

「かき菜」は伊豆の伝統野菜の独特の葉っぱ。都会では全く見かけないし、東北産のかき菜と、見た目も味も全く違うもの。

高菜のように大きな葉っぱで、下茹ですると真っ黒なアクが出る。独特の香りが田舎のキッチンに溢れると、今年も1年が終わるな、と感慨深くなる。歯応えと食感が唯一無二のおいしさだから、ほうれん草も小松菜も代用はできない。お正月に欠かせない。

出汁は、厚切りのかつおぶしと昆布で水出汁をとっておき、鍋に1/2ほど。醤油大さじ2、日本酒大さじ1で味つけて、かき菜の量にあわせて塩3つまみほどを塩梅で。アク抜きしたかき菜は色が悪くなるので食べる直前に入れてグツグツ煮ないこと。具材はお餅、かき菜、油揚げの3点のみのシンプル。かまぼこも肉も決して入れない。

そしておせち。今年のおせちはミニマムに。好きな物だけを手作り。いちばんの好物は、伊達巻き。

伊達巻きは、自分で焼くと、とってもおいしい。今年はいい塩梅のレシピができたのでメモ。

urara's伊達巻きのレシピ

 材料/ホーローバット(19cm×23cmサイズ)
イオンのはんぺん 1袋
卵 6コ
はちみつ 大さじ1
日本酒 大さじ1
砂糖 大さじ1
塩 3つまみ
  1. 材料をすべてミキサーでなめらかに撹拌する、
  2. クッキングシートを敷いたホーローバットに流し入れる。
  3. 200度に予熱したオーブンで200度10分、160度に下げて18〜20分焼く。
  4. 焼き目を上に、巻き簀上に3を置く。
  5. 巻きやすいように、数箇所、包丁で切り込みを入れる。
  6. 巻き簀で巻き、輪ゴムで固定する。冷めるまで待ち、よく冷めてから食べやすい大きさに切る。
 

ホードーバットや、大きいスクエアの型がある場合はオーブンで焼くのがおすすめ。でも手軽に卵焼き器でもOK。

こちらは卵焼き器で焼いたバージョン。ガス火で焼く場合は、生地を卵焼き器に流し入れ、アルミホイルでふたをして、弱火で15分ほど蒸し焼きに。そのほかの工程はオーブンと同じです。

はじめて伊達巻を手作りしたとき、市販の伊達巻とはまったくちがうおいしさに驚いた。そして思いのほかとてもカンタン。家族みんなの好物なので、お正月じゃなくてもたまに焼く。こだわっておいしく作るコツはふたつ。なめらかな口当たりにこだわるときは、卵液を裏ごしすること。じゅわんとした甘みが欲しいときは、蜂蜜を使うこと。

そして箸休めにぴったりの紅白なます。

 

お正月でもしりしり器が大活躍。大根も、金時にんじんもあっという間に千切り。おせちは甘いおかずが多く並ぶので、なますは甘みをつけないのが私流。ゆずの果汁と、千鳥酢だけで究極シンプル。ビタミン不足になりがちなお正月に、サプリ感覚の箸休め。

黒豆も、甘みをつけずに炊く。塩のみの味付けでコトコト炊いた黒豆はホクホク、すっぴんの味。隣には、白餡きんとん。時間があるときに白いんげんを炊いて作っておいた自家製白餡を冷凍していたものを解凍して茶巾でしぼったアドリブレシピ。我ながらナイスアイディアだった。来年は栗餡で作ろう。

そんな感じで、私の好みとワガママだらけの、自由なゆるおせち。「こうあるべき」を捨てると料理は楽しい。地味に、私がCookingポリシーが詰まっている。

 一方、そんな私の母の料理は「こうあるべき」が詰まっている。

THE!キンメの煮付け。甘すぎない、醤油ベース。THE!母の味。田舎っぽい料理だけれど都会生まれの夫も大好物。

そしてTHE!茶碗蒸し。エビ、カニカマ、三つ葉が必須具材。孫たちから一番人気のメニュー。

他の具材を入れたり、アレンジは絶対にしないのが母流。

「いつもと同じ味」を作る母。

「いつも違う味」を作る私。

「家族のために」作る母。

「自分のために」作る私。

料理に対する向き合い方は、親子だけど全然似ていない。そのうえ私はわがままでこだわりが強いから、反発することも多々あった。特に、自分自身も「母親」になってからのこの12年間、振り返ると、違いを認め合うことはいつも簡単ではなかったし、平和ではないお正月も憂鬱なお正月もあった。色々と。

でもやっぱり、母のつくるご飯はおいしい。いつ食べても、おいしい。今年はとびきり、おいしく感じる。それはきっと、私が変わったってことかな。変わらない母の味に、心の底からごちそうさま。

ふと、10年先、20年先の未来を思い浮かべると、不安にフォーカスしそうになるけれど、やめておく。今、私が考えるべきはただひとつ。今日の夜ごはんは何にしよう。今日を100%生きて、家族とおいしいものを食べる。それだけで100点、間違った未来にいくことはないはず。さあ、今年も365日、キッチンに立とう、前向きに。息抜きもズルもしながら!urara