ベトナムのカフェとキャロットケーキ–Column–

ベトナムのカフェとキャロットケーキ–Column–

「ベトナムのカフェでおしゃれな女の子が焼いたマフィンが食べたい。」

いつもそんなふうに、マフィンをふくらませながら、妄想をふくらませる。

たとえばこれはコーヒー&ココナッツのズッキーニマフィン。去年の夏、書籍のために焼いたもの。真夏の暑いキッチンに閉じ込められながら、思いを馳せた未知なる異国、ベトナム。きっとコーヒーもおいしくて、ココナッツもおいしいんだろうな。そんな思いつきをトッピングにした、マフィンのレシピ。

ビターなコーヒーとココナッツがマッチしておいしかった。妄想はいつも、レシピをおいしくするヒント。遊ぶようにたくさんのマフィンのレシピを書いたこの1年。

新刊、まいにちおいしいベジマフィン (山と溪谷社)も、やっとのことで、完成間近。

上がってきた書籍の校正紙を読みながら、ふと思った。「でもベトナムのカフェって実際どんな?」好奇心が湧いたら旅出の合図。東京のカフェめぐりもちょっと飽きてきたからちょうどいい、ベトナムのカフェへ行こう。ついでにかわいい布も探しに!と、ビューンとベトナムまで、ひとっ飛び。

コーヒー大好きベトナム人!ホーチミンのカフェめぐり。

「ベトナムのひとはコーヒーが好き」その噂は本当だった。歩いていると本当にたくさんのカフェ、カフェ、カフェ!

ローカルなコーヒーチェーンには、朝早くからおじさんたちが集う。ドトール的な雰囲気ただよう。

スタバな雰囲気をもとめる私は、ハイランズコーヒーへ。

ベトナムのスタバ的存在 HIGHLANDS COFFEE

ハイランズコーヒーは、とにかく街中にたくさん。東京でスタバに出くわす確率の3倍くらい(あくまで体感)ある。それでいてお値段は半分以下。そして、おいしい。居心地よく、清潔で、カードOK、Wi-Fiあり、仕事もはかどるカフェ。ベトナムでいちばん人気のコーヒーチェーンらしい。納得。

観光客だもの、やっぱり飲みたい。CONG CAFEのココナッツコーヒー。

ガイドブックでも有名なCONG CAFEのココナッツコーヒー。ココナッツミルクのスムージーに、アイスコーヒーを混ぜたもの。甘く、ひんやり、街歩きの疲れを癒してくれる。これぞまさに、マフィンにトッピングした、コーヒー&ココナッツの味わい。お店の雰囲気も、思い描いたベトナムらしさを感じるカフェ。小さな店内は観光客でいっぱいだった。

こだわりの絶品コーヒーを、 THE WORK SHOPで。

街の中心部。古い建物の階段の先に突如現れるモダンなカフェ、THE WORK SHOP 。まずは、メニューにキャロットケーキを見つけてときめく!

しかしこの日は品切れ。残念。でもその悲しみを忘れるくらい、コーヒーはとびきり美味しかった。コーヒーのうんちくには詳しくない私でもわかる、格上のおいしさ。

キリっとすっきり、香り高く雑味のないコーヒー。お店の雰囲気ふくめて300点!

おしゃれ地区タオディエンのヴィーガンカフェでランチ。

ホーチミンでいま、いちばんオシャレな地域と話題の地区、タオディエン。ミーハーな気分全開でヴィーガンカフェへ。食べ応えたっぷりのブッタボウルに、ターメリックラテ、そしておまけのキャロットケーキエナジーボール。

にんじん、デーツ、オートミール、ナッツをぎゅぎゅっと。ココナッツでお化粧したひとくちサイズのヘルシーキャロケ。

キャロットケーキエナジーボールを食べてキャロットケーキ運が上がったのか?ホーチミンでも思いがけず、おいしいキャロットケーキに出会ってしまった。3つも!

その①

グルテンフリーのキャロットマフィン

 

タオディエンの住宅街に佇む、グルテンフリーレストラン Gluten Free Gourmetで出会った、グルテンフリーのキャロットマフィン。

グルテンフリーのパンやベーグルで健康志向のロコに人気のお店みたい。

きっと甘いんだろうな、と食べてみると意外にも甘さ控えめ。自分で焼くマフィンの味付けに似ていて、なんだかほっとした。すりおろしタイプのにんじんがたっぷり入っていて、ナッツもたっぷりじゅんわり。やさしいおいしさ。(クリームチーズと卵は使用)

その②

ショコラティエのキャロットケーキ

カカオで有名なベトナムの、有名なショコラティエMaison Marou(メゾン・マルゥ)で奇跡的に出会った!イースター限定のスペシャルキャロットケーキ!こんなに可愛らしいケーキ、なかなか出会えない。(毎年イースターの季節に、海外へ行けばキャロケに出会う確率も格段に上がるかも?)

カカオニブたっぷり、カリカリの食感。生地にはにんじんがたっぷり。意外な組み合わせなのに、その出会いが必然と思うようなベストマッチ感。トッピングのうさぎのチョコも口溶けなめらかで豊かな味わい。一緒にオーダーしたショコラドリンクもおいしくて、甘くとろけるひとときのカフェタイム。

その③

高級スーパーのキャロットケーキ

帰国日、お土産を買いに駆け込んだスーパーマーケット「Annam Gourmet Market」。ここでもキャロットケーキに出会ってしまった。荷物もパンパンだし、冷蔵ケースに入ってるケーキを道連れにするのは不安もリスクもある。しかし!出会ってしまったこの子を見捨てることはできない。

10時間を超える旅路を経て、なんとか、東京に連れて帰ったキャロットケーキ。さすがにポロポロ、クラッシュ気味。おそるおそる一口食べてみると、「あ、大丈夫!」と思った。これだけ甘ければ、痛むこともないね。クリチも水分少なめでかなり甘くてこってり。スパイスよりもバニラがふわんと香る、異国のキャロットケーキ。

そして、もうひとつのお土産、

もちもちのココナッツケーキ

ケーキ?お餅?もちもちのアジアンなおやつ。ココナッツ、ココナッツクリーム、餅米が原料だろうか、シンプルな味。

この手のアジアなおやつ、昔はちょっと苦手だった。アジアのおやつ=too muchなスイーツ、というイメージがあったから。でも、今回ベトナムで出会ったスイーツは意外にも甘さ控えなものが多く、そのイメージはガラッと塗り替えられた。特に忘れられないのが、チェーの味。

スイーツの概念をひっくり返された、街角のチェー。

ベトナムのスイーツといえば一番有名なのが「チェー」。白玉や煮豆、ココナッツミルク、そして氷の入った甘いデザートで、日本でいうぜんざいのようなスイーツ。

よくみてみると、下に海藻入ってる!玄人むけなチェーをオーダーしちゃった?

氷でお腹を壊さない保証もない、屋台のチェー。ドキドキしながら飲んでみると、なんておいしいのだ。すっきりと、ほどよい甘さのシロップに、ホクホクの冷たい煮豆。そして昆布にしか見えない昆布のような海藻。これが、まさかの、不思議に、おいしい!一口ごとにびっくり。海藻が疲れた体に染み込んでいく。

「豆も、海藻も、スイーツになる。」

ところてんだってデザートになるんだから、昆布をデザートするのだってアリだよね。価値観が思いもよらぬ方向に、ぐわんと広がった。これこそ旅の醍醐味、また一つ、私は食いしん坊の修行をつんだ。よし、この夏はチェーをヒントにぜんざいを作ろう。

次回のベトナム旅日記はマルシェ巡りとココナッツおこわのはなし。つづきます。urara