台湾のキャロットケーキとおいしいものー Columnー

台湾のキャロットケーキとおいしいものー Columnー

おいしいのヒントを探しに、ふらっと春の台湾へ。

先月のベトナムで出会ったチェー。アジアのスイーツに引き寄せられ、台湾行きのチケットを取った。娘の胃袋、母の胃袋を引き連れ、3人でショートトリップ。

この春、小学校を卒業した娘の春休みの卒業旅行もかねて。

台湾に来たってパイナップルケーキより、まずはキャロットケーキ。

どこを曲がっても、情緒深い小道に出会える台北の街。かわいいウサギたちがお出迎え。

ウサギの小道を抜け、カフェMiss V Bakary に到着。

ドキドキしながら、ケーキのショーケースをチェック。よかった、ちゃんとあった!はじめての台湾のキャロットケーキ。

これまでの経験上、暖かい国ではキャロットケーキはまだまだマニアックなケーキ。台湾でもやっぱりキャロットケーキはあまり見かけない存在。あまり期待せずに食べた。期待せずに食べる、というスパイスが加わってか?「わ!」とびっくりするおいしさだっった。

にんじんたっぷりでジューシーな生地、ほどよいシナモン、上品なクリチ、丁寧にカラメリゼされたナッツ。私の求める要素のつまった、パーフェクトなおいしさ。

こんなにおいしいキャロットケーキを焼けるなんて、やっぱり台湾のひとは、料理が上手に違いない!心ときめくケーキとの出会いは、旅の醍醐味。

噂のパイナップルケーキもちゃっかり食べる。

台湾通で有名な青木由香さんオススメのお菓子屋さん「天手品」のパイナップルケーキも、ゲット。素材の良さを感じる、シンプルな味わい。甘さ控えめで、バターの香り豊か。

パイナップルケーキをかじりながら、猫の縄張り争いを眺める。

私も猫なら台湾に住みたい。

噂の豆スープは弾けるおいしさ。

はじめての台湾。みんながおいしいと噂する名店にも一応足を運びたい。おいしいと定評のある「人和園」でディナー。野菜料理がおいしいと評判の雲南料理の高級中華レストラン。お目当てはさやえんどうのスープ。

宝石のように輝く、スナップえんどうの浮かぶスープ。プチプチと上品に口の中で弾けるお豆。スープは、鶏出汁もほのかに感じさせつつ豆のうまさを引き立たせている。(ヴィーガン料理ではない)

ピリ辛のエリンギスナックは、お酒を飲まない私にはけっこうしょっぱめ。

いんげんが巻かれた「餅」と書かれたクレープのようなもの。

細やかな手仕事により、野菜の個性を引き出して、華麗に変身させる雲南料理の職人技に関心しながら、舌つづみ。

高級料理店もいいけれど、いちばん楽しみなのはローカルフード。外食文化がさかんな台湾で、台湾でしか食べられないものに出会いたい!

おばあちゃんの手作り。台湾の真っ黒おにぎり。

朝ごはんの目的地は、おにぎりで有名な員林商店さん。

こちらのマダムが長く手作りされるおにぎり「飯團(ファントゥァン)」を食べてみたくて。中国語しか通じないけれど指差しやジェスチャーで注文。

興味津々で見ていたら、作る過程も写真を撮らせてくれた。あたたかい紫米の上に油麩、ゴマ、そぼろなどの具材をのせて、その場で握ってくれる。

真っ黒のおにぎりを、近くの公園でぱくり。

ビジュアルインパクト、がつん!おいしさも、がつん!

お米はパラパラと水分の少めのパープルライス(紫米)。その中にはサクサクの揚げパンと甘塩っぱいそぼろのような具材がIN。パクパク食べてしまう病みつきな味だけど、やさしさも感じる絶妙バランス。白米よりも玄米の好きな私にはこの紫米が大ヒット。モチモチだけがお米のおいしさじゃないのだ!という新たな発見がうれしい。

おにぎりのおともには、あたたかい「花生湯」。やさしくて甘いピーナッツのスープには、白玉もたっぷり。

ベトナムのチェーにつづき、台湾に来てやっぱりさらに大好きになった、アジアの甘いスープ。

おにぎり&味噌汁の和食では満たせないときめきのスイートモーニング。THE!甘党のわたしには最高の組み合わせ。

もちもちの白玉だんごにびっくり!ローカル食堂のスープ。

こちらはディープなローカルレストラン、「双連良咸湯円」の白玉団子のスープ。「鹹湯圓(たんゆえん)」というらしい。水餃子や小籠包の小麦粉のモチモチとは一味違うおいしさ。一緒にオーダーした水餃子もおいしかったけれど、この白玉団子のほうがみんな好きだった。白玉粉の可能性を発見した瞬間。日本でも白玉粉を研究したい、心にメモ。

もちもち!その2。ローカル食堂のちまき。

台湾といえば小籠包?でも、私が小籠包を差し置いてでも食べてみたたかったのが、台湾のちまき。地元のお客さんのにぎわいに惹きつけられ、見つけたのが「阿桐阿宝四神湯」のちまき。甘さ控えめ、栗もIN!おいしかった。八角が苦手、そのうえローカルフードに怯えていた母も不思議と完食。

この旅の最大の目的、本物の豆花を食べる。

台湾に来たら絶対に食べたい!と、事前に入念な下調べをした豆花。(私のGoogleマップは豆花のおいしいお店だらけになっている)しかし、予定どおりに行かないのが旅のあるある。結局のところ豆花の食べ歩きは叶わず、この1店舗にしか行けなかった。

昔ながらの製法で作られる「古早味豆花」の豆花。

食べた瞬間「別に食べ比べしなくてもいっか!」と思えるほど、おいしかった。

ほわほわの暖かい豆腐に、タピオカと茹でピーナッツ。あたたかな甘いシロップ。この甘さがとにかく、ちょうど良い。とにかく、やさしい。台湾のスイーツは、どれも甘すぎず、しつこすぎず、やさしい味わいなのだ。

こちらは里芋の芋団子「芋圓(ユーエン)」をトッピングして。

日本ではなかなか食べることのできない「芋圓」(ユーエン)。これはタロ芋(里芋)から作った芋だんご。芋感たっぷり、モチっとおいしい。芋と一緒に合わせてるのは白玉粉かな?

里芋が台湾では立派なスイーツ向き野菜なのだと知って、うれしくなる。そういえばハワイでもタロ芋のスイーツは結構メジャーだった。日本では里芋をスイーツにするとびっくりされるけど、国境を越えると料理の概念はガラリと変わるのだ。

ちょっとニッチなおすすめドリンク、仙草ゼリー。

蒸し暑い台北の街歩き、喉が渇いたらオススメしたいのが「仙草ゼリー」のドリンク。街角のチェーン店「清心福全」で、烏龍茶ベースに 仙草ゼリーをトッピングして、甘さは「微糖」をチョイス。

このチョイスが大正解。食べ歩きで疲れた胃袋につるっと滑り込む、「仙草ゼリー」のおいしいこと。弾力もほどよくあり、チュルン、ぷるん。タピオカほど重くないところがおすすめ。ゼラチンのゼリーはあまり好きじゃない私だけど、これは大好き。からだに良さそうなうえおいしい、「仙草(せんそう)」が、とっても気になる存在に。

やさしさ溢れるタピオカドリンク。

台北で人気の街、 迪化街(ゆかがい)。思っていたより観光地化されていたメイン通りを少し外れ、たまたま見つけたのが、ローカルカフェ「茶米露(チャーミールー)」。

白いタピオカのミルクティー、ウーロン茶にはゼリーをトッピング。奥様が手作りされているというタピオカは、とってもやさしい美味しさ。

ドリンクの美味しさ以上に、私がこのお店に激しく心を動かされたのが、お店のご主人のやさしさ。そしてたまたま隣に居合わせた、地元の若者たちのやさしさ。

メニュー選びに苦戦する私たちを見かけるやいなや、みなさん全力でサポートしてくれた。日本語も勉強しているそうで、英語と日本語を交えながらの軽いおしゃべりも楽しく。別れ際には、娘に「Friend's Taste!(友の味)」とお菓子をくれた。

台湾が親日だと聞いてはいたけれど、想像を超えてきた。なんて親切なひとびとなんだ。このカフェだけじゃない、駅で切符を買えずに困っていた時に駆け寄って助けてくれた若者。ローカル食堂でちょっと場違いな私たちにも、丁寧に机をふいてくれ案内してくれたおじさん。アジア旅行につきものの押し売りやぼったくりのもなく、穏やかで温かい街、台湾。

「親切」って美しい。抜け落ちてしまっていた、当たり前に気づいて。

文字に書いてみると、なんともありきたりな言葉。でもこの短い旅のなか、台湾のひとの親切にふれながら、東京でせかせか生きる自分から抜け落ちてしまっていた大事なことに気づく。(東京のせいにしていいだろうか。)親切はたいせつ。親切は美しい。何よりも、美しい。

そんなこんなの3日間。おいしいものでお腹いっぱい、ハートも満たせれ日本へ帰国した。

帰国から12時間後、飛び込んできた、地震のニュース。

たった12時間前まで自分がいた土地での、大きな地震。「もしも、自分が。」そう思わずにはいられないタイミング。なんていうことだ。

混乱する自分をおさめるためにも、まずは赤十字に寄付をした。台北で出会ったひとたちが無事であるように無力ながら願い、そしてまたいつか台湾を訪れる日を願って。台湾を訪れたことのある多くの日本人が同じ気持ちをでいるかもしれないことを思うと、復興の日が遠くないような希望が持てる。

旅するごとに、世界の出来事は他人事じゃなくなっていくこと。

ショッキングな地震のニュース。けれど、やっぱり私は旅に出たい。リスクもあるし危険もある、ひどく疲れる。それでも旅に出たいと思う、気持ちって何なのだろう?

食いしん坊の旅好き、と言ってしまえばそれまでだけどそれだけじゃない。きっと、旅することで、価値観をぶっ壊しに行きたいのだ。日本で凝り固まったり、偏ったりしてしまう価値観。筋トレにも似ているかも?筋肉を疲労させ、破壊させ、疲労回復しながら筋肥大をさせていくみたいに、旅することで育つ、何かしらの筋肉。簡単にいえば、強くなりたい。多様な価値観に対していつも、寛大でありたいし、どんな状況でもおどおどしない強さがほしい。

そして娘にもそんな強さを持って欲しい。どんな状況に置かれても、自分らしい選択肢を選べる強さ。職業とか偏差値とかは何だっていいから、真ん中にゆるぎない強さを育ててあげたい。

この子にも思春期が来るのか来ないのか。まだまだ無邪気な素直さを持つ愛しい娘よ。いつまで私の話をまっすぐ聞いてくれるかな。耳を傾けてくれる今のうちに、言葉でもちゃんと伝えなきゃ。そしてまた、次の旅に出よう。urara