10月のKitchen Note

10月のKitchen Note

栗しごと深まる10月。「発酵栗あん」のレシピができました。

栗、栗、栗。9月から引き続き、終わりのない栗しごとに没頭中。

いちばん好きなのは、やっぱり渋皮煮。

宝石のようなこの1粒を味わう、一瞬の幸せのために、何時間もかけてせっせと栗しごと。ただ、栗の渋皮煮には時間がかかるうえに、慣れるまでは失敗もつきもの・

渋皮煮の達人になるべくまだまだ修行中なわたしですが、数ある失敗のなかから新しいレシピが生まれました!ヘルシーで、おおらかに、栗を楽しみたい方におすすめのレシピです。

栗しごと初心者さんもおすすめ、渋皮栗でつくる“発酵栗あん”。

お砂糖なし。麹の発酵マジックで、やさしい甘さ。ちょっと新鮮なこの味わい、ぜひお味見していただきたい!

餡は2種類。栗のごろっと感を残した「つぶ餡風」。

ペーストした「こし餡風」。

おいしさのポイントは、渋皮ごと麹と発酵させること。そうすることで力強い栗の渋皮ごと、香りをぞんぶんに味わうことができます。ちなみに渋皮は使わずに茹で栗から作ることもできるのですますが、ひとまずイチオシのこちらのレシピをご紹介。手間と時間はまあまあかかりますが、秋の休日にちょこっとチャレンジしてみませんか?

 渋皮栗でつくる“発酵栗あん”のレシピ

①栗を熱湯につけ皮を柔らかくする

栗は洗い、ボウルに入れて熱湯を入れ、5分ほど置きます。鬼皮を柔かくします。

②包丁で鬼皮をむく

栗はおしりのほうに包丁で切り込みを入れ、上に引っ張るようにむきます。指でむけるところは指でむきます。

むいた栗は乾燥しないように、すぐに水に付けておきましょう。

③鍋にたっぷりの水、栗、重曹を小さじ1入れ、火にかける。

鍋にたっぷりの水を張り、重曹を小さじ1加え火にかけます。重曹で、栗のアクを抜きます。沸騰したら弱火で10分ほど。湯の色がどんどん茶色に!アクも軽く取りましょう。(のちほど湯を入れ替えるので取りすぎなくても大丈夫)

※栗の色素は強く汚れるので使い古した鍋を使うのがおすすめ

④鍋の湯を入れ替える。

シンクで鍋の湯を入れ替え、鍋を洗います。ザルにあげて栗を軽く洗います。栗はあとでつぶすので、多少栗が壊れても大丈夫ですが、栗は衝撃に弱くデリケート。常にやさしく丁寧に扱うことを習慣にします。

(※ちなみに、渋皮煮を作る際には急激な温度の変化で栗が壊れないように注意をすることがコツ。このレシピでは栗をつぶすため、ここでは渋皮煮を作る時のように神経質にならなくても大丈夫。ですが!栗の渋皮煮を作るときの前知識として、あるいは渋皮煮を作る練習として栗の扱いを丁寧に行う習慣を身につけたいのです)

⑤③〜④の工程を3〜4回ほど繰り返す

③~④の工程を繰り返し、アクを抜きます。鍋の水が段々と薄くなり、このくらいの茶色になれば、完了。(完全な透明にはならない)栗につまようじを刺し、栗が仲間で柔らかく火が通っていることを確認します。※ここで、もしもまだ固いようであれば、⑥のお掃除のあとに、もう一度茹でで栗を柔らかくしましょう!

⑥渋皮のお掃除

栗が冷めたら、栗の渋皮のお掃除をしましょう。

指でやさしく栗を撫で、筋を取り除きます。

取れにくい部分は爪楊枝や竹串を使います。

こんな綺麗にむけた子は、渋皮煮にもしたくなる出来栄えです!

しかし、ここまでの工程で、煮崩れてしまっても大丈夫。

ここまで壊れてしまうと、渋皮煮にはむきませんが、今回の発酵栗あんづくりでは、問題なし。ご安心を!

そして、ここでひとつ味見をしてください。栗にしっかり火がとおっているかを確認し、加熱が足りない場合はもう一度、5〜10分ほど茹でます。

栗の渋抜き&茹でが完了したら、いよいよ、発酵の準備に進みます。

⑦材料を計量する。

 

材料(作りやすい量)

アクぬきした栗 600g

麹 200g(栗の重量の1/3~1/2ほど)

水. 150g(栗の重量の1/4ほど)

 

栗を計量し、麹と水を用意します。

麹の量は厳密でなくても大丈夫です。栗の甘みの個体差によって仕上がりの甘みも変わりますが、麹が多い方が甘みと麹の香りが強くなります。

⑧耐熱保存袋に入れ、つぶし混ぜる

材料を袋に入れたら、栗を手でつぶしながら、全体を混ぜます。力を入れすぎて袋に穴が開かないように注意。

また、水の量は目安です。栗の茹で加減によって、増減を調整をしてください。水を入れすぎてビチャビシャにならないように注意します。

⑨60度で8~10時間ほど発酵する

炊飯器の保温機能を使って、8〜10時間ほど発酵させます。炊飯器のふたはあけたまま、袋の口も少し開けておきます。日光は避け、熱くなりすぎないように布の座布団をしいてあげます(厳密には布はなくてもいいですが、栗への私なりのやさしさ)。ヨーグルトメーカーがあれば60度にセットして8時間ほど発酵してください。

➓できあがり

まずはお味見をどうぞ。しっかりと麹が甘くなっていたら発酵完了!このまま食べてももちろんおいしい!さらに広がるアレンジ。

フードプロセッサーでなめらかにすれば、お砂糖なしの栗ペーストに。

こちらはフードプロセッサーで全体を撹拌させたもの。麹の粒が栗と一体化して新しいおいしさです。

さらに、このペーストをザルやこし器で裏漉しして、なめらかにすればモンブランにもぴったり。(工程写真省略)※裏漉しをしないと金口が詰まるので要注意!

プラントベースなモンブラン

ヴィーガンお豆腐デーツクリーム(レシピはまた今度・)をアイススコップでちょこんとのせたら

モンブラン金口をつけた絞り器で、ペーストをにゅるり。

1年に何度もトライできるものではないので、絞り方の出来栄えはまずまず。だけど、とびきり楽しいひととき!

渋皮煮をどーんとのせたら、プラントベースなモンブランの完成。

植物性の素材だけが織りなす、ピュアなおいしさ。ため息が出るほどのおいしさに、里山の神様に感謝する。地球よ、今年も秋をめぐらせてくれてありがとう。

と、感動しつつも。やっぱり、生クリームとも合わせたい欲望も消せない私・。 

生クリームをそえて贅沢すぎるマロンパフェ。

電動ホイッパーを棚から引っ張り出して久しぶりに泡立てた生クリーム。

グラスにクリーム、発酵栗あん(つぶ&こし)、渋皮煮をのせた贅沢パフェ。生クリームにはお砂糖はいれず。栗の甘みを引き立たせてくれる、華やかなクリームのおいしさ包まれて、夢見心地。娘たちと歓喜する秋の夜。ふだん乳製品控えめな我が家には、これはハレの日の特別すぎるスイーツだ。

ハレの日も、ケの日も。秋の恵に感謝して、旬の味覚をぞんぶんに味わう。日々、いろんなことはあるけれど、毎晩夜ご飯をおいしく食べれたら、それだけで幸せだ、としみじみ思う秋。別に大したものを作るわけではないけれど、大したものじゃなくてもおいしい。それが秋。まだ冬よ、こないでおくれ。urara

 

 

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