宝石とシナモンを探しに、スリランカへ。vol.1

宝石とシナモンを探しに、スリランカへ。vol.1

とれたての宝石と、世界いちのシナモンを見つけたい。

スリランカといえば、カレーに紅茶?世界遺産のシギリヤロックも見てみたいし、アーユルヴェーダでおこもりリゾートにも憧れる。でも今回はそのすべてをあきらめて、宝石とシナモンを探すのだ。

スリランカは「宝石の島」とも呼ばれる、世界有数の宝石の産地。さらに、世界一美味しいと名高い、セイロンシナモンの唯一の産地でもある。デザイナーとして、そしてキャロットケーキを愛する者(すなわちシナモンを愛する者)として。絶対に訪れなければならなかった場所のひとつなのだ。

空港を少し離れると、すぐに広がる視界いっぱいのグリーン。バナナの木が生い茂るウガンダの景色や、ココナッツいっぱいのインドネシアを思い出す。

街ゆく人はインドに似ているな。でも、牛も少ないし、何より道が断然クリーン。
これまでの色々な旅を思い出しながら、「似ているけれどちょっと違う」を少しずつ集めながら、旅が始まる。

ウトウトと、車窓を眺め3時間。ラトゥナプラという街までやってきた。

宝石の産地、ラトゥナプラへ。

ラトゥナ」は宝石、「プラ」は町という意味。文字通り「宝石の町」。その街は思っていたよりも田舎で、のどかでちいさな町だった。中心には大きな川が流れている。この川の恵みが宝石を生み出す土壌を作っているんだろうな。

街のそばにはたくさんの採掘所がある。のどかな畑の奥にあるのは、宝石の採掘小屋。

井戸を深く堀り、地中から宝石を採掘する。ちなみに女性が井戸の中に入ると災いが起きるという言い伝えもあり女性が井戸の中に入ることは禁じられているそう。

 

炎天下のもと、川の水で、宝石を洗う人々。

想像のつかない重労働。そして、自然と一体化しながら労働する姿に、見惚れる。

緑豊かなこの土地で、育まれる宝石。一体どんな色のきらめきに会えるのか?期待が高まる。

勇気を出して、宝石市場へ。

宝石探しがスタート。まずは、宝石市場にやってきた。素人禁止とも言われるかなりのローカルスポット。日本人はもちろん観光客は一人もいない。

さらに100%の男社会。女はいない。ちょっと異世界。

太陽の下、立ったまま、路面での取引。

みんなウエストポーチを身につけて、そこから各々の宝石を取り出すスタイル。

プロの集まる取引場所。きっと観光客はカモにされるだろうし、冷やかしで首を突っ込んで、怒られちゃうだろうかもしれない・・と、覚悟はしていた。それでもただただ、自分の目でその現場を見てみたくて、ここまで来た。

意外にもオープンハートな宝石市場で。

さて、どうやってこのマーケットに馴染もうか。まずは私自身、オープンハートで素性を明かしてみる。宝石のバイヤーではなく、ジュエリーデザイナーであること。「高い宝石を買う気はないけど勉強したい」と正直に話してみた。すると、みんな、Welcome!と、自分の仕事を見せてくれた。

サファイアやスピネルの原石。

スタールビー、輝く手元。

ハートシェイプの宝石を探して。

街を歩いているだけで、「何が欲しいんだ?」と次々声をかけられる。

ピンク色のハートシェイプの宝石を探している。」と言えば、驚くべきスピードで人だかりができる!

みながウエストポーチの中から、宝石を取り出し、どうだどうだと目の前に差し出してくる。カルチャーショッキングな体験。しかし、意外なことに、彼らは全然しつこくない。相手がこの石を本当に欲しいかどうか、きっと伝わっているのだ。

翌日からは街を歩くとみんなに、「ヘイ、マダム。ハートシェイプはあったか?」と声をかけられる。小さな街でのただ一人の日本人。すぐに顔を覚えられ、Japanese ハートシェイプマダムとして、ちょっとした有名人になってしまった。
「Not Yet」と答えながら街を歩く。いつだって本当に欲しいものは、そう簡単には見つからない。

笑顔のあふれる街を歩きながら。

宝石市場から出て、街を歩く。ただ歩いているだけ、みんなが微笑みをくれる。 

あれ?私って有名人だっけ?と思うほど、本当に9割のひとが挨拶をしてくれる。

笑顔に笑顔を返す。この街にいるだけで、1日中ずっと口角が上がってるかも。

布屋さんの元気ガールズ。すごく人懐っこい。

泊まった宿のオーナーとその家族。とてもアットホームで心地よいゲストハウスだった。

鳥の囀りで目覚めると、窓いっぱい広がるグリーン。

自然いっぱいで、とびきりフレンドリー。そんなラトゥナプラの街が、すぐに好きになってしまった。

「こんな素敵な土地で採れる宝石、やっぱり欲しい」。ふいにオーガニックな欲望が、湧き上がる。インスタや宝石店でジュエリーを眺めているだけじゃ生まれない種類の欲望だ。極上の物欲。この感覚が湧き上がる衝動、ときめきを味わいに、わざわざ私は旅をしているのかもしれない。伊勢丹じゃこの衝動を買えないから。

無理して宝石を買わなくてもいいや、と思って来たけれど、やっぱり欲しい、スリランカ生まれの宝石。しかし、残り短い日数。さて、どうやって理想の宝石を手に入れよう?ひらめきと作戦にワクワクしながら、眠りにつく。

後半につづきます。