猫と海とブルーモスクと。イスタンブールのカラーパレット

猫と海とブルーモスクと。イスタンブールのカラーパレット

2月のイスタンブールはグレー。旅中、ずっと雨だった。真冬の雨ほど、苦手なものはないのに、不思議と気持ちはずっと華やかだった。冬のヨーロッパには魔法がある。灰色のなかに色を見つける遊びをしながら、街を歩く。

もの悲しいビルの、タイルの青。

ハっとする、からし色のコート。ムスリムの女性にはめずらしい、鮮やかな色の服。

花柄のビジャーブが、目にとまる。

国民のほとんどがイスラム教徒のトルコ。ビジャーブや帽子で髪を隠す女性を多く見かけた。ちなみに観光客でも、モスクに入る時は女性は髪を隠すルール。

雨の朝、一人きりで眺めるブルーモスク。

マフラーで髪を覆い隠し、朝のモスクへ。世界遺産のブルーモスク、朝一番のりで辿り着くと、ラッキーなことに観光客は私だけ。一人きりでモスクの礼拝堂をじっくりと眺めた。

正確には、猫といっしょに。

美しいマンダラ。

ブルーモスクといえど、ブルーだけじゃない、複雑な色合い。

マンダラを見つめながら、処理能力が追いつかない。私はイスラム教のことを全然知らない。

どんな信仰心のもとに、この曼荼羅の線を描き進めたのだろう。

すべてを知っていそう、あるいは興味もなさそうな猫。

立派なトルコ絨毯の上で、猫二匹と佇むひととき。

言葉も知らない。歴史も知らない、旅先ではいつも、まるで子どもと同じ。猫が好き、とか、海が好き、とか、子どもの頃から変わらない単純な好きを集めながら、好奇心を紡いでいく。新しく手に入れた好奇心は、次の旅への道しるべ。

イスタンブールで集めた、グレイッシュなカラーパレット。

フェリーに乗ったら、ほんの少しだけ太陽がきらめいた。青い海にはない、グレーの海のカラーパレット。

野良犬のグレー。猫だけじゃなくて犬も多いイスタンブール。猫も犬も、みな、街の人から愛されているからか、穏やかでなつっこい。

タバコの煙のグレー。トルコの人はタバコが大好き。若い女の子もふくめ、みんな四六時中タバコを吸っている。日本では許せない副流煙も、ここではなぜか不思議と許せる。スイーツと同じく、お酒の飲めないイスラム教徒の大切な楽しみのひとつなんだろう。

宝石店、アクセサリーショップも異様な数だった。スイーツと同じく、キラキラしたものも、嗜好品のひとつと言えるかも。タバコ、スイーツ、アクセサリー。

信仰のもと、日々祈りを捧げながら、嗜好品を愛するトルコの人たち。その生き方って実は逆にヘルシーなのかもしれない?と思った。出会った人がみな、とても優しく親切だったから。

旅の終わりに一瞬だけ見た、晴れ間。ボスポラス海峡。

この海が、アジアとヨーロッパの境界線。

アジアとヨーロッパを行き来できる唯一の街、イスタンブール。他にない唯一無二の美しい街。

夜明けの月を見ながら、次の本の中表紙に描いたうさぎの絵を思い出した。偶然にもトルコの国旗とそっくりだ。いつも、偶然と運命を無理やりこじつけたい。

ああ、ずっと、旅をしていたい。子どものように。宝箱に宝物を集めるみたいに。でも帰ったら大人に戻って、子どもの面倒をみなくちゃいけない。

マーケットで見つけたハートの宝箱。かわいかったな。そういえば、あの食器屋さんで見つけたハートの宝箱も買えばよかった。せめて写真を撮ればよかった。

ふわっとした後悔の余韻に浸りながら、飛行機のなかで絵を描いた。

じぶんだけの宝箱に、自分だけの嗜好品を集めなさい。それが人生よ。

言葉にすると野暮なメッセージは、お土産代わりに二人の娘に伝えたいこと。(絵にしても野暮だけど、いいのだ)。この絵はシールにして、チャリティアイテムにしようと思います。(ただいま制作中)3月8日は国際女性デー。

happy women's day!

すべての女性が、自分らしいラグジュアリーを楽しめる世界になりますように。前向きな願いを込めて。urara