コラソンを探しに、メキシコへ。

コラソンを探しに、メキシコへ。

「次は、メキシコだ。」

確信を持ち、数ヶ月前、えいや!と、飛行機のエアーをおさえた。

メキシコといえばタコス?フリーダカーロ?カラフルな街並み?どの目的も魅力的だけれど、いちばんの動機は「コラソン」を探すこと。コラソンとはスペイン語でcorazón。「ハート」「心臓」「愛」を意味して、メキシコでは古くから愛される。伝統的なモチーフだ。(メキシコの公用語はスペイン語)。

「メキシコに行かないと出会えないコラソンに出会いたい」。そんな好奇心でメキシコ行きを決めた。はじめての南米、はじめてのメキシコ。調べてみると思っていたよりもメキシコは広い。悩んだ末、目的地はメキシコの「タスコ」に決定。(食べ物のタコスじゃなくてタスコ)古くシルバーで栄えた街、タスコ。さて、どんなコラソンに出会えるだろうか?

飛行機の中でのメモ。雲の上はちょっと魔法がかかってる。

まずは成田空港からメキシコシティまで。ANAで直行12時間、意外に近い。お決まりの特別機内食のフィッシュミールを食べながら、劇場で見逃してしまったウィキッドを観る。機内食の味はいつだってイマイチだけど、映画を観ながら食べるにはちょうど良い。おいしすぎると映画に集中できないからね。

ウィキッドは二人の魔女の話。豪華絢爛に描かれたエメラルドシティを見ながら、名作、オズの魔法使いを思い出す。ドロシーの気持ちに一体化し、エメラルドシティに憧れ、夢中で旅をしていた幼かった自分を思い出す。無事にお家に帰れたラストシーンの安堵感、心の底からほっとした感覚は、まるで昨日のことのよう。

ファンタジーのトリックに気づいてしまってからも、ファンタジーに胸を踊らせた小さな頃の自分は死んでいない。はじめて宝石に憧れた瞬間は、まさに、絵本の中。紙に印刷された、アリババの海賊の宝石を、うっとりしながら見つめていた。宝石やアクセサリーへの憧れが芽生えた瞬間は、間違いなくあの瞬間。ボロボロになるまで繰り返し読んでいた絵本の中にある。

永遠の7歳でいるために。

子どもの頃の憧れを追い続けること。それはRomantic Foodiesの使命。こどもっぽいモチーフの象徴でもある「ハート」をブランドアイコンにしているのもその理由。ときめきのままに、キラキラのハートを探しに、飛行機に飛び乗って、知らない場所へ行くのだ。

ウィキッドを見終え、ファンタジーな気分をもう少し引きずりたくて、立て続けに白雪姫を観た。想定通り、現代版の白雪姫は、強くて自立した現代のお手本みたいなプリンセスだった。(良くも、悪くも。いや、子ども向けの映画だから悪いってことはないか)。ひとつ、想定していなかったのは胸にシルバーのハートのネックレスを掲げていたこと。お、よき偶然。これからメキシコに探しに行くのも、ハートのネックレス。映画の中のペンダントは父親の肩身で、メッセージが刻まれていた。デザインもメッセージもクラシカルだったけれど、「いつだって胸にハートを掲げて生きていたい!」という思いは時代を超える。白雪姫への共感に運命をこじつけ、旅への期待を高める。こんなふうに、いつも飛行機の中で見る映画には勝手な運命をこじつけがちだ。たぶん、雲の上ではちょっと魔法がかかってる。

そろそろ寝ようと「ティファニーで朝食」を適当に流し見する。しかし、オードリーヘップバーンの美しいハット姿に目を奪われる。すっかり忘れていた名シーンだ。偶然にも、今まさにRomantic Foodiesでもハットを作っているところ。またも運命!とびきりかわいいハットがもうすぐできるんだ。完成したらホリーの気分でリボンをひるがえそう。たとえ年齢も見た目もホリーとまるで別物だって、気持ちだけホリーになるのは自由さ!

高揚した気持ちのまま「Romantic Foodies」のロゴをスケッチする。アイディアを書き留めながらうとうとし始める。目が覚めたらメキシコに近いづいてたらいいな。つづく。


 

Items