梅しごとにらっきょうしごと、はじめてがいっぱいの梅雨入り前のキッチンより。
都会のスーパーに飽きて、キッチンに立つことが嫌になったら、とにかく都会を抜け出して、田舎の新鮮な野菜に触れなくちゃいけない。どんなに頭がぼーっとしていても、野菜と向き合っているうちに、自然とインスピレーションが湧いてくるから。
それに、今年は絶対にはじめての梅しごとに挑戦すると決めたのだ。おばあちゃんが遺してくれたた梅の木に青梅が実っていることを願い、週末びゅんと、伊豆の家へ。
5月は3週目。まだ早いかな?と思ったけれど、小ぶりだけど、熟す前の新鮮な青梅が収穫できた。
梅愛芽生える、はじめての梅しごと。
赤く熟す直前の、今だけの黄緑色。梅ってなんてかわいいのだ。1時間浸水させて水気を丁寧に拭き取り、梅を割って種を取り出す。大変だけど夢中で楽しい。
宝石みたいな青梅のはちみつ漬けに、うっとり。
書籍づくりでいつもお世話になってる編集のWさん。昨年、梅の季節にとにかく梅愛を語られていて、今年こそ梅しごとデビューしようと決めていたのだ。Wさんご担当の榎本美沙さんのレシピを参考に青梅のはちみつ漬けに挑戦。
ずっと食べてみたかった青梅のカリカリ。1年越しに食べたかった夢が叶う!
この香り、この甘酸っぱさ。青梅でしか叶えられないおいしさ。この味を知ってしまうと、青梅の季節を見逃すことは、きっともうできない。これから私は先人たちと同じように、梅愛を秘めて、6月を心待ちに生きていくことでしょう。晴れて、梅好きの仲間入り。
はじめて食べる、真竹。
もうひとつ、はじめて調理した野菜、「真竹」。道の駅で出会った、その日の朝どれ新鮮な「真竹」。いわゆる小さい筍。
はじめて食べる野菜は、レシピに悩まず、まずはシンプルに食べるのがマイルール。その味を知りたいし、スマホでレシピ検索に悩む時間ももったいない。
皮をむいて、むいて。どこまで食べられるのか悩みつつも食べやすい大きさに切っちゃおう。
掘り立ての真竹は、重曹入りのお湯で茹でて、軽くアク抜き。柔らかいから軽く茹でるだけでいい。真竹を見つめていると、茹で上がりの時間は真竹が教えてくれる。黄緑と黄色が美しく、初夏を感じる真竹。筍を茹でるよりもずっと簡単。なかなか出会えない野菜だけど、見つけたら必ず書いたい、ラッキー野菜のラベルをつけておこう。
メニューは決まらなくとも、新じゃがを、蒸す。
つづいて、おばあちゃんの蒸し器を引っ張り出して、新じゃがを蒸す。
新じゃがはよく洗って、皮ごと蒸す。柔らかすぎるよりも、少し芯を感じるくらいの蒸し加減が好み。蒸しながら何を作ろうか考え出す。そうだ、パセリもあるしポテサラを作ろう。
urara's らっきょうポテサラ。
蒸したての新じゃがを荒めにマッシュしたら、以下を加えて和えるだけ。
みじん切りのパセリ
スライスしたらっきょう漬け(道の駅の推しのおばさんの手作り)
らっきょう漬けの汁
ゆでたまご
+オリーブオイルを少しまわしかけて、お塩で味を整える。
これがとってもおいしくできて家族みんなで歓喜した。
マヨネーズを使わずにとも、ポテサラはおいしくなる。
らっきょうの酢漬けの甘酸っぱさが味の決め手のらっきょうボテサラ。玉ねぎもいらないのが簡単ポイント。
これからも我が家のポテサラはこれでいこう!と家族で意見が合致する。ピースな瞬間。
「うちの味はこれだね!」と、家族みんなが合意する喜びは、やっぱり料理を続けるモチベーションになる。
茹でただけの野菜こそ、ごちそうだ!
採れたての明日葉と、ブロッコリー。蒸しただけで、ごちそう!これこそ、ごちそう!都会じゃ絶対に食べられない味だ!
と、鼻息荒く私が(夫も)、素のまま野菜をうまいうまいと食べている姿を見ているからか、こどもたちは二人とも好き嫌いはなく、出された料理を残すこともない。
おいしいの価値観を日々すりあわせ、更新していくことは、家族で暮らすことの楽しみだな。
家族は胃袋共同体。新しいおいしいを求めて。
今年の新たに、家族全員がらっきょうが好きだとわかった。らっきょうポテサラのおいしさの興奮が冷めぬうちに、すぐに2キロのらっきょうを買い込んだ。らっきょう仕事も、はじめての挑戦。
これが思いのほか超大変で、平日のキッチンで2時間を費やしらっきょうと向き合った。「仕事ができない!」と焦りながら「らっきょう仕事も立派な仕事じゃないか」と思い直す。そうだ、台所仕事も、季節仕事も、立派な仕事なのだ。何度洗っても簡単には落ちないらっきょうの泥を落としながら、100年前の女性への敬意が湧いてくる。朝ドラ(虎に翼)を見ているせいか、何につけても100年前に思いを馳せがちなこの頃。2024年、仕事も、台所仕事も、何を保守して何を改革していけばいい?キッチンで一人、思想はめぐる。urara