6月のkitchen Note

6月のkitchen Note

2026年、夏。ちょっと本気で、美容の話をしてみよう。

6月のキッチン。知り合いの畑から苗ごといただいた、食べられるお花。味はすごく辛い。正直、おいしくない。でも、この鮮やかなにんじん色に運命を感じ、愛でているのだ。時に美しさは、おいしさに勝つ。

この一年。いや、もっと。「美容」について思考をめぐらさせている。43歳、もうすぐ44歳か。エイジングと向き合う年頃、まっただ中。

美容家ではない自分が、「美容」について語ることには抵抗がある。美の賢者ではないし、コスメオタク『では』ない。もう少し俯瞰の目線で、美容というよりも「美しさ」という大きなテーマに対して考えをめぐらせている。

私が思う「美」について。「この先の人生で美容医療をしない」決意をあえて、記す理由。

はじめに、あえて、個人的な意思をここに記してみます。私はこの先の人生で美容医療はしない、と決めている。理由はとてもシンプル。人工的な造形によって作られた肌は、不自然だと思うから。大袈裟に極論で例えると、たとえば人物デッサンを描くのなら、つるぴかで不自然な人間よりも、シワや陰影を重ねた人間を描きたいな、と思う、ような感覚です。

しかし、今。東京には、シミもシワもなく肌がピカピカな女性に溢れている。私はシンプルに、そこに大きな違和感を感じている。価値観の違い。自分の価値観は、東京においてどんどんマイノリティになっていることを、ヒシヒシと感じる。だから、東京に息苦しさを感じて、しょっちょう海外逃亡に旅に出る。

旅に出て、美しさの価値観を広げたい。

アントワープの街で見かけた豹柄マダム。日焼けも、露出も気にしない。年齢を重ねたからこその豹柄の着こなし方。こういう女性に出会うと、すごくときめくし、元気になる。

白髪と、白いワンちゃんに、ピンクの差し色のマダム。ああ、私も本当はもっと鮮やかな服が着たいけど東京だと目立たないように服を選びがちだな、と気づいたり。

鮮やかな民俗衣装に身を包むインドの女性。東京では出会えない、まったく異なる美の価値観に、ふわ〜っ胸が熱くなり、興奮してしまう。つまり、ときめく。

そんなふうに、旅先で、ときめきを味わいながら、宝物を集めてる。東京で凝り固まった価値観を緩み、息苦しさがすーっとなくなる。ああ、大丈夫、老いても人生を楽しむ術は、まだまだ色々ありそうだ、と、元気が戻る。

シミを消すのに数十万円払うなら、シミが増えてもいいから、旅に出たい。

簡単にいうと、そんな価値観で生きている。もし私が今億万長者になっても、美容医療はしないだろう。お金があったら、畑と、畑を耕してくれるお手伝いさんつきの豪邸が欲しいな。いや、それはちょっと違うか?

しかし、普段から、ハイブランドのコスメにお金を使うよりも、おいしい野菜や果物を、いっぱい食べたいと思って暮らしている。

そう、それも大きな理由なのだ。やっぱり、私はキッチンの魔法を信じたい。美容医療よりも、にんじんの魔法を信じたい。グルテンフリーのおまじないを実践したい。

美容医療より、にんじんを信じたい。

昨年出版した「Good Morning Sweets」の1枚。

自分のなかにある言葉にならないきもちを挿絵にしたけれど、この絵を描いた心の根底にもそんな願いが隠れていたのかもしれない。

グルテンフリーのおまじないを実践しながら、枯れない心を育てたい。

20代の頃から栄養や健康の本はだいぶ読み漁ってきた。この20年で、そのブームは何度も覆る。昨日まで健康にいいと言われていた食べ物も、明日には不健康だから食べるなという人が現れる。

そんなウェルネストレンドに、踊らされたり、むしろ逆に踊ってみたり。試行錯誤しながらもう、20年ほどキッチンに立っている。そのなかで、「野菜たっぷり」と「グルテンフリー」は、自分にとって心地よいリズムに定着しているし、なによりも「おいしい」と思えるキッチンポリシーに育った。

だから、この先も、この二つのキッチンポリシーを軸にしながら、自分のからだや肌を持って実験してみたい。親友が美容医療をバリバリやっても否定はしない。むしろ私のこの実験の比較として、比べてみよう。面白いじゃん!みたいな軽いノリ。食べるもので、肌はどのくらいエイジングに抗えるか。今日もにんじんを大量に食べながら、実験を続けているのだ。

photo by aya iwamoto

「ファンデを塗らない肌に似合うものが欲しい」

こうして日々、美容について考えをめぐらせる中、ある日ふっと、その欲望には生まれた「ドレスとジュエリーがあれば、この先ずっとご機嫌で生きていける!」と。

素肌に触れて心地よいシルバーにコットンドレス。今も、この先も、ずっと似合うもの。心の中に思い浮かんだラフスケッチを形にしたい。そう決心して作ったドレスと、ジュエリー。

この数年を振り返ってみると、Romantic Foodiesでも様々なアイテムを増やし、さらには新たなジュエリーブランドを立ち上げるほど、ものづくりに夢中だった。


「素肌に似合うもの」「心に花咲くもの」。

Romantic Foodiesの根底にあるデザインコンセプト。


素肌に似合うもの。

素肌が映えるもの。

何よりも、出会った瞬間、心に花が咲くみたいに、ときめくもの。

そして、そのディテールが自分の暮らしに散りばめられ、じんわりとときめきが持続する。そんなものを作りたい、といつも思っている。

花柄のパジャマに包まれて、甘い夢をみよう、そんなメッセージを忍ばせたパジャマ。

口紅みたいな、赤いハット。

すっぴんで生きていく。そんな願いのもと作ったハット。

このハットは、まさに「すっぴんで生きたい」の願いを形にした、特別思い入れの深いアイテム。猛暑で日焼け止めも溶ける夏に、うんざりしていた。もう、すっぴんで生きていきたい、と。しかしすっぴんだとしても、おしゃれはしたい。ときめきを捨てる気はない。それで、ハットを作るプロジェクトが始まった。

生地を選びながら「赤いハット、みたことないけど大丈夫だろうか?」と不安を抱きながらも、勇気を出して作ったハット。コンサバな黒いハットはRomantic Foodiesで作る意味はないよね、と。完成したハットは想像以上に顔なじみがよく、さっとかぶるだけで口紅をさしたみたいに、素肌が鮮やかになった。

ちなみに彼女はモデル兼デザイナーのnamiko。
思えば、彼女と私の対話は、いつも何かしら「思想」について話している。デザインの具体や、ファッションのトレンド、モノの造形の話は実はほんの少し。むしろ、生き方について。「私はこんな風に生きたい」と語り、その個性強めな情熱をフラットに受け取り、プロダクトに昇華させていくデザイナー。特殊な魔法使い。ちなみに私は彼女のそばかすと、白髪を生かした黒髪が、とてもおしゃれで美しいと思っていて、いつもRomantic Foodiesのモデルに彼女を起用している。


そして、2026年7月、新しいプロジェクトが完成しました。

と、ここまで、美容にはじまり、ものづくりの話を話しました。

だいぶ長く・・。

ここまで読んで下さった方に、いちど感謝を伝えます。(急に敬語)

こうして日々、続いているRomantic Foodies。来る7月に、新たなプロダクトをお届けします。ズバリ、コスメです。すべてのRomantic Foodiesなあなたへ、心からお届けしたいと思えるものが完成しました。また次回のコラムで紹介させてください。つづきます。urara