パリのキャロットケーキとモンブラン。

パリのキャロットケーキとモンブラン。

ひさしぶりのフランス、パリへやってきた。5月のパリは、薔薇でいっぱい。

朝いちばん、セーヌ川沿いを歩く。目に映る景色のすべてに、ポンヌフの恋人(いちばん好きな映画)のシーンを重ね、ひとり、感激する。もう!なんて美しいのだろう!

大学生の頃、はじめてこのメトロの装飾を目にした時の衝撃が蘇る。久しぶりに見ても、かわいい。

みんな、晴れやかに気持ちよさそうに街を歩いている。

ひとも、犬も、ご機嫌そう。いい季節。

さあ、パリを満喫しよう。キャロットケーキ&美術館めぐりへ。

さあ、パリを満喫するぞ!私の行動スケジュールにガイドブックは必要ない。とにかく、キャロットケーキを食べまくる。そして美術館にゆっくり浸る。それだけでいい。それがいい。これこそ私の好きなヨーロッパの過ごし方。

スーツケースを引きずって、パリでのおしゃれ地区といわれるマレ地区へ。

まずはキャロットケーキで腹ごしらえ。

パリのヴィーガン&グルテンフリーキャロットケーキ。

「Cloud Cakes」というヴィーガンカフェのキャロットケーキ。
しっとり、にんじんたっぷり!程よい甘さで、すごくおいしい。意外。と、いうのも、乳製品ラブの国フランスでは、ヴィーガンの選択肢はまだ少ないんじゃないかな?と予想して来たから。でも、それを裏切るおいしさだ。美食の国のレベルを感じる。そうだ、どうせなら美食の国のレベルを知りたい!
この一つ目のキャロットケーキをきっかけに、パリのヴィーガンキャロットケーキを探してみることに決めた。

Cloud Cakesのすぐ近くで発見した、

グルテンフリー ブーランジェリー「Copains」。

フロスティングのフリフリ感がかわいい。しかも、ヴィーガンなうえにグルテンフリー!
写真では伝わりづらいけれど、日本だと見かけないほどの大きなパウンド型!みっちり、きめ細やかな美しい断面は、見ての通りのジューシーでしっとり。
甘すぎずに、おいしい!にんじんの味もする。
しかし、ザラっとした舌触りを感じる。そうだ、これはお土産にもらったフランス産のグルテンフリーミックスでキャロットケーキを焼いた時と同じ食感。何の粉を使っているのだろう?
つづいてはエリアを変えて、ボンマルシェ近くにある

ブーランジェリー「Nogle」へ。

 

こちらもみっちり、美断面!

甘みも控えめでおいしい!にんじんたっぷりのしっとり上品な生地に、シュガーフロスティングのジャリっと感がアクセント。
ただ、粉の奥に感じるザラっと感はやはり、、気になる。
日本のきめ細やかな米粉のなめらかな舌触りは、素晴らしいんだな、と遠いパリの地で実感。ぜひ、パリの人に日本の米粉を食べてみてほしい。

ヴィーガン、グルテンフリーを食べたら、やっぱりふつうのキャロットケーキも味見しなくちゃ。

おしゃれなパリジェンヌで賑わう

Partisan Café Artisanalのキャロットケーキ。

しっとり3段ケーキは海外ならでは!しかし、結構な甘みと、久しぶりのクリームチーズにちょっと胃もたれする。

こちらのお店は店員さんが、みんなとびきりおしゃれ。お客さんもかわいい若者がたくさん!

パリジェンヌにとっても、キャロットケーキは「キャロットケーキ」?

隣に座るパリジェンヌもキャロットケーキを食べていた。彼氏とフランス語のおしゃべりをしながら、何度も「キャロットケーキ」と発音していた。何て言っていたのだろう。ついでに、遠くに座るパリジェンヌもキャロットケーキをつついていた。パリでもキャロケは人気なんだな、としみじみ。

もうひとつ。パリまで来てスタバはどうかな?と迷ったけれどやっぱり食べた、

オペラ座のスタバのキャロットケーキ。

絢爛豪華なTHEパリ!な内装の店内。
チェーン店あるある、ちょっと乾燥気味。甘くて重めだったけれど、スパイシー。スパイスの印象はいちばん強く残ってるかも。(そういえば去年、トルコのスタバでもキャロットケーキを食べたけど、全然違うレシピだな。)
キャロットケーキを食べたら、美術館へ。

見切れぬほどの、名画を味わう。

ピカソを見る。
マティスを見る。
知らない画家の知らない肖像画にも、個人的な思い出が重なったり。
老後の憧れの夢みたいな景色に出会ったり。
自然って、素晴らしいよね。人生って美しいよね。そんな普遍的な喜びを、描き手と共感する時間。言語を超えて、時代を超えて。むしろ同じ時代を生きる隣人とは、共感しずらい部分。言葉にできないことを、言葉じゃない感覚で、共感する。
それって、すごくないか!?と、ひとり、何度も心が震えた。
大満喫したパリ。
胸いっぱいに、さて、帰るか。と、帰国の準備をしていたところで、まさかのフライトキャンセルが発生。延泊をすることに。バタバタと慌てて取った安宿は、薄暗い地下室のような小部屋・・。充満する芳香剤の香りからどうにか意識を遠ざけ、なんとか眠りについた。朝起きて、すぐに部屋を飛び出し、街を歩く。最後の朝をどう過ごすか悩みつつ、行くのを諦めていたアンジェリーナに向かうことにした。

緊急延泊。すっぴん、Tシャツ、一人ぼっちで夢のモンブランを食べる。

店の前はすでに、行列。世界各国の観光客で溢れかえっていた。みんな家族やカップルで楽しそう。独り身に気後れして、帰ろうかなと思ったけど、別の予定を立てる気力もなく、並ぶことに。

しかし、扉を開けると、惨めさと疲労が一気に吹き飛んだ。

小さな頃に憧れた、マリーアントワネットの世界。宝石のように並ぶお菓子。

朝から活気あふれる店内に、あふれる多幸感。

きびきびと美しく動く、給仕さん。「Bonjour Madame」と席に案内される。

迷わず「モンブラン&ショコラショー」の観光客黄金セットをオーダー。

まずは、運ばれてきたカップのANGELINAのロゴに見惚れる。なんて美しいんだろう。特に「G」の描く曲線の丸みがたまらない・・・と、デザインに浸っていると、突然カップにショコラショーがトポトポと注がれた。音でもわかる濃厚さだ!

夢のモンブラン&ショコラショー。

一口飲んで、混乱する。私は何を飲んでいるのか?いや、食べているのか?

甘くて、濃厚な「飲むチョコレート」。人生最高のココア体験。このレシピは絶対に知りたくない。カロリーも知りたくない。ただただ、欲のまま、ショコラショーに溺れたい。

そして、主役の登場。モンブランがやってきた。

ずっと憧れていたパリ本店のモンブラン!

実は東京でも20年ほど前に何度か食べたことがある。誰かの差し入れを、会社の会議室で食べた。その時の感想は「甘すぎるな」という程度のもの。アンジェリーナのありがたみも知らない、無知で仕事に疲れた若者だった。

それから20年。人生の経験値と味覚をレベルアップさせた今。自分の意思で、足で、はるばるアンジェリーナ本店までやってきた。

さあ、一人きり、モンブランだけに集中し、モンブランと向き合う贅沢を味わうぞ。

高まる期待のなか食べたモンブランは、期待を裏切らずにおいしかった。「うんま」っと声が出た。

甘すぎるマロンクリーム。重すぎるクリーム。

甘みと重みに押しつぶされる重圧感。

でも、これこそ、幸せだった。

箸休めのショコラショーも甘すぎる!重すぎる!そんなクレイジーなバランスのなかで、「甘いものが好き」という素直な自分を解放した。もし、隣に甘党ではない誰かがいたら、「おいしいけど甘すぎるね〜」とかありきたりな感想を言うだろう。そう思うと、むしろ一人で来てよかったのかもしれない。おひとり様、バンザイ。とはいえ最後の何口かはマロンクリームが甘すぎて、もう少し生クリームを追加したいと思ったけど、そのtoo muchを体感することまで含めて、アンジェリーナのモンブランなのだ!


夢がかなった。パリに来てよかった。

アンジェリーナを出て、最後のセーヌ川沿いを名残惜しく歩く。

エッフェル塔が見えた。パリに4泊したのに、エッフェル塔を見ることを忘れていたことに気づく。旅に出ると私はいつも有名どころの観光地をスルーしがち(三度訪れたインドでもタージマハルを見ていなければ、スリランカでもシギリヤロックへ行かなかった)でもやっぱり、王道っていいものだな、とちょっと反省する。

残り少ない時間は、パリ私立美術館で過ごした。これが、とっておきの穴場の美術館だった。ゆっくりと、絵画を見ながら、私も、描きたい!と、ただ、思う。

色をめぐるピュアな遊び。おいしさをめぐるピュアな遊び。そうやって、人生を、遊んでいたい。

「やっぱりRomantic Foodiesなんだ」と、思った。そして、「Romantic Foodiesでいさせてくれよー!」と心の中で叫ぶ。何に怒っているのだろう。「Romantic Foodiesで生きるわ!」と、自分をなだめ、美術館を出た。一人旅は、頭のなかが結構うるさい。

2026年、5月。パリで感じたときめきのような、渇望のような、情熱を忘れずに、ノートにいっぱいアイディアを書きとめた。とっちらかったアイディア、どうやって育てよう。まとまらない。このコラムもすごく長くなっちゃった。すみません。ここまで読んでくださった世界の誰かさん、ありがとう!urara